東尾張乱射事件

【次回の記事予定】「お金」で「愛情」や「友情」が買える『脳内麻薬 ドーパミンの正体』を読んだ感想。

NUDE or Higashi

Owari Ranshajiken

ざわざわざわざわ

J・G・バラードを読んでみる

沈んだ世界 (創元SF文庫)

沈んだ世界 (創元SF文庫)

『沈んだ世界』J・G・バラード(著)

 地球温暖化の果てに水浸しとなった世界。熱帯雨林的な毎日。するとそんな環境に応じて進化する生物。その頂点として爬虫類が――巨大化したイグアナやワニがわさわさ出てくる。人はどうなったのか。安全な大気を求め、移住を繰り返す。人口はみるみる減少し500万。精神的にも参ってくる。とそのいっぽう、人にとって苛烈であるはずの環境を超えんとするなにかが、残された人類たち、とりわけ登場人物たちの無意識下に顕現するようになる。より苛烈である土地、影や緑のない沼のみの世界、そんな絶望の地平線しか見えない南を目指さんとする人がでてくる。

感想

 読んでいるだけでウダウダと蒸し暑くなってくる。以前、『砂の女』安部公房(著)を読んだときにも、たしか似たような汗がでた。ただこちらは多少エンタメ要素が挿入されておりストレスが少なく感じられる。会話や改行が挟まれると、そのぶん暑さ描写に間があくためだろうか。アクションや、場所の移動があったりすると、読書をしながら知らず息をついている。ふぅーと。『砂の女』の時は、こういうサービスはなかった。改行少なくみっしりと、文字による砂の膨大な世界描写ばかりだった。自分的には「こりゃ読むサウナだ」という、何か歪んだストイックさともいうべき忍耐でこらえた記憶が今なおある。そう思うと、仮にもし今後のちも、地球温暖化に歯止めがかからないのだとしたら、砂漠化ではなく、高温多湿な地球環境になることが望ましいのかもしれないなどと、人嫌いの僕なんかはしんみりと本を閉じた。ちなみ文庫の裏付けをみると初版が1968年で、原作は62年とある。

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