東尾張乱射事件

【次回の記事予定】「お金」で「愛情」や「友情」が買える『脳内麻薬 ドーパミンの正体』を読んだ感想。

NUDE or Higashi

Owari Ranshajiken

ざわざわざわざわ

安い席の人は拍手をして下さい。そのほかの人は、宝石をチャラチャラ鳴らして下さい。byジョン・レノン

赤い楯―ロスチャイルドの謎〈1〉 (集英社文庫)

赤い楯―ロスチャイルドの謎〈1〉 (集英社文庫)


『赤い盾 ロスチャイルドの謎1』広瀬隆(著)

 スイス銀行の秘密口座を動かす男たち、NATOの最高幹部、ハリウッドのユダヤ人、中東に戦乱が絶えない謎、バチカン銀行の正体、統一ドイツの黒幕、南アにうごめくシンジケート団、スターリンとクレムリンの秘史、パリ・ファッション界の帝王、穀物と食品に群がる不思議な船団、スパイ機関の目的、商人と銀行家と植民地、マルコスやチャウシェスクたち独裁者の友人、そして何より、このメカニズムを隠し続けてきた欧米のジャーナリズムの真相

<感想>

 全4巻のいわゆるロスチャイルドもの。膨大に示された家系図をもとに、いかにこの世界が、ロスチャイルド関係者に牛耳られているかを知ることになる。
 陰謀論が大好きな僕としてはとても面白く読んだ。
 仮に話半分だとしても、あるいは全てが荒唐無稽なフィクションであったとしても、この著者の描くシナリオと、博識をよりポップに、そして朗々と語られる声は、たとえこちらがまるきし理解していなくとも、それなりに面白かった。
 この1巻ではまず007の作者イアン・フレミングから始まる。彼は小説家であるだけでなく、イギリスの海軍少佐としてスパイ活動をしており、また彼の従兄が、ウラン採掘会社「リオ・チント・ジンク」の重役とくる。さらにイアン・フレミングが描いた女王陛下の007、そのエリザベス女王が、「リオ・チント・ジンク」の系図に登場する。つまり、


ダイアナ妃の先祖は、父方・母方とも問題の南アを支配した白人の代表者であったという闇に隠された史実を、ジャーナリストは誰も伝えない。ダイヤ王として今日の人種隔離(アパルトヘイト)政策の礎を築いた、19世紀の伝説の人物セシル・ローズから、ダイアナ妃の高祖父はある企業の支配権を譲り受けて財を成した。高祖父とは四代前のルーツに当たる。これは父方の物語だが、母方の曾祖父ファミリーは、南アに直接出征し、自ら武力をもってイギリスの利権獲得に奔走した人物である。


 とまあそんな調子でユダヤ陰謀論とはまったくちがう物語ですすめられる。古くは15世紀、また18世紀から現代までを、何度も何度も往還しつつ、その視点は、ときにタイタニックの乗客から、あるいは世界初のSOS信号受信者から、あるいはシャーロックホームズの視点から、コロンブスから、アラビアのロレンスから、マーガレットサッチャーのさえないと思われた旦那などなど、複眼的でありながら、語りはあくまでも二人称っぽく、太宰文学のごとく、こちらに反応を求めてくる。
 そして、ほんとに世の中は怖いとつくづく思った。
 だがしかし、2巻は

ファシズムの足音が聞こえ、すでにナチスの軍靴の響きが、ロスチャイルド家の屋敷に一歩一歩と近づいていた。

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