おらがブログ ぐあんぐあん 愚按
- 作者: 藤沢周平
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2009/04/10
- メディア: 文庫
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継母との折り合い悪く、長野からはるばる江戸へ、奉公人として出発した小林一茶(弥太郎)。しかし一茶は奉公先の重労働になかなか馴染めず、遁走と放浪を繰り返す。そして怠惰で無能な自らに絶望したりもする。そんなおり、町中でみかけた賭け俳句の世界に、ある希望を見てしまう。旅先から旅先へ、なんに縛られることもない露光という俳諧師が、一茶に声をかけてきた。元御家人でもある彼が云うには、どうやら自分には見込みがあるらしい。
【感想】
人生は厳しいなぁ、と呻吟せずにはいられない読後感。
と同時に、もうすでにこんな時代のころから、俳諧という世界には序列といふか、融通のきかないガチガチの価値基準があったのかと、ある種うんざりしつつ、いっぽう、そうした権威の壁を正面に見据えていた一茶が、ふと馬齢をこえたあたりに、いまでいう「ロッケンロール」で「パンク」な表現、あるいは得体のしれない自由なものに救いを見いだすほかないという抗えない意識の流れが、ひじょうに共感もしたし引き込まれて読んだしだい。
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- 作者: 村上春樹
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2010/09/29
- メディア: ペーパーバック
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- 作者: 村上春樹
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2011/01/31
- メディア: 単行本
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まさしく村上春樹の雑文とインタビューを寄せ集めたもの。
【感想】
しょうしょう期待はずれだった。小説家村上春樹というより、翻訳家村上春樹の顔や声のほうが強くでていたような。いや、そうでない。なんだらう? たぶんとりあげられているインタビュー時のテーマが、あまりもマンネリだからなのか? 音楽や映画や料理なんかの話があまりなかった。オウムの話についても、その当時の事情もあるのかもしれないけれど、なにかもっと仮定の話(肯定)しながら、否定を否定することもできたのでは、などと二冊の重い本を置いた。
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『がん 生と死の謎に挑む NHKスペシャル取材班』立花隆(著)
- 作者: 立花隆,NHKスペシャル取材班
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2010/12
- メディア: 単行本
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ネットでは、ジャーナリスト立花隆の評価はすっかり地に落ちてしまっているようだけれど、その文章力はそれなりに面白いしちゃんとした声があった。読者が疑問におもって当然の設問に対してスルーすることなく、「そう、まずそこを説明しないと話が深まらない」とばかりに、語りを開襟してみせる姿勢は、やっぱりすばらしいなあ、と僕なんかは感心しきりに読んだ。とくにこうした「がん」にまつわる読み物なんかは無数にある(完治vs不治)し、そしてそうした読み物や「ウソではない症例」なんかが、ナゼ無数のごとくあるのかという疑問にも著者は、自らが「がん」であるという立場から、あるいはそれなりのデータや、海外の学者が説く、がんの膨大すぎる未開ぐあいをわかりやすくものしてもいた。
「ヒトとハエの最後の共通祖先は六億年から六億五千年前に存在していました。その後別々に進化した。しかしヒトはいまだに胎児が発達する段階でハエと同じ遺伝子を使っているのです」
ーーそれががんの転移の原因となるのですね。
「それらの遺伝子は六億年間ほとんど変化していません。同じ遺伝子で、同じ役割を持っているのです。
【・・・・・・】
「六億年ほど前、多細胞生物が地球に発生した時点でがんのリスクは生まれました。多細胞であれば、その中の一つが異常な行動をしはじめる可能性があるということなのです。多細胞生物の存在そのものががんのリスクといえる。がんは産業社会が生んだものではありません。がんは六億年も前から存在しているのです。私たちはライフスタイルを変えることでがんになる割合を増やしたり減らしたりすることはできます。しかしがんは現代の産物ではありません。がんは全ての多細胞生物にとって、本質的で先天的な宿命の病なのです」
またこの単行本にはお値打ちなっことにDVDが一枚付いていて、まずはそちらを見た後の読書を著者は薦めてもいる。そのほうが理解が深まるらしい。
しかしこのDVDで残念なのは、番組は全部で三回ほどあるらしいのだが、今回添付していたのはそのうちの一つであるとのこと。カラフルなCG画像でとてもわかりやすい優れた映像だったのでとても残念というか、市販する予定なしというのがまた惜しい。
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キュレーションの時代 「つながり」の情報革命が始まる (ちくま新書)
- 作者: 佐々木俊尚
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2011/02/09
- メディア: 新書
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【所感】
たぶん大手メディアに代わって、情報長者もしくは情報権威派なるものが、これからゾロゾロと出現しますよ、と僕なんかは勝手にそう理解した。きっといい傾向なんだと思う。いや、まちがいなくいい傾向なんだろうけれど、なにかけっして明るくはない不安な影が心に射すのはなぜだろう? 自分の場合、情報を取捨選択する能力がたいしたことないだけに、そうした情報なりなんなりが今とはまた形を変えた権威となって、ひどくうっとしいものになる煩わしさを勝手に想像してしまうからだろうか。何も無い自然の大地、茶色い地面を指さして、ここからあすこまでが俺の土地だからね、といちばん最初に宣言したヒトの理屈がまだまだ続くということかもしれない。それとも……