東尾張乱射事件

【次回の記事予定】「お金」で「愛情」や「友情」が買える『脳内麻薬 ドーパミンの正体』を読んだ感想。

NUDE or Higashi

Owari Ranshajiken

ざわざわざわざわ

『共食い』青山真治(監督)

共喰い [DVD]

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まず、“共食い”でググって出てきたグロ画像にたいへん胸を痛めました。

話題性におもねっていうと、エル・トポに出てきた動物たちが、たった数秒の画のためにほんとうに殺されたのだという事実を知ってしまったときとおなじような切なさ……(あんまりだ)





それはさておき




原作は田中慎弥さんというかたで、広島に原爆が落とされたのち、その地で最初に芽吹いた生命が“ニラ”だったというプチ雑学の入った短編をぼくは一つだけ読んだことがあります(*)。
(*)原爆とニラと田中さんで検索したのですが芳(かんば)しい結果は得られず。もしかしたら勘違いかもしれないです。

それから石原慎太郎にむけて「芥川賞をもらってやる発言」をしたとか(最高)、マザコンであるとか、AVを見ないなどが話題となり、総じてマザコン作家というキーワードが青山真治(監督)の興味をそそったのではないか、と『サッドヴァケイション』(*)が好きな自分としては、勝手に想像しました。(*)すべて母性に回収されていくここちよさとして、ぼくはそう解釈してなんども見たりしたました。そして今回も……


映画から透けてみえるタブーについて


深沢七郎の小説『風流夢譚(ふうりゅうむたん)』事件の解説(ウィキとか)なんかを読んだりすると、現在のタブーらしき(身障者表現。子殺し。自主規制とか)とはまた異なるタブーが、下関という地域にすらあった!とそう意識させてくれる描写(映画の後半で)がさらりとあったりして、じゃあなぜそんなタブーが戦争を終えたあとも存在しえたのか、そしてそのタブーを皆が共有することができる為の情報のひとつが『風流夢譚』事件なのかな?などとおもいつつ、もしくは、天皇をタブー視(処刑されていないストレス)することに国民がのっかったのかな?とか。それ以上はめんどくさいのとやっかいなのでこれ以上は書けないです。




〈あらすじ〉

夏。昭和天皇が崩御するちょいまえくらい。場所は方言の感じから、四国か広島あたりでしょうか(*)。そうして、ヒロヒト天皇を「アノヒト……」と呼ぶのは、主人公(17)の母親。片腕で魚をさばく生業(戦争被害者だけれど恩給はナシっぽい)、父は一見してロクデナシとわかる風体で、自宅に愛人を同居させての交尾。セックス時は加虐しないと射精しないというやっかいな男。 そんな加虐セックスを嫌悪しつつ、主人公も父とおなじ性癖のもちぬしだということを自覚し煩悶する。でも性欲は抑えられない。だって家に帰ると薄着の琴子さんがいる。父とセックスばかりしている琴子さんがいる。あの身体。からみ。顔にアザ(セックス)をつけて、すぐそこにナマ足のままいるのだ……
(*)下関とありました。けれど厳密な下関の方言ではないだともなにかの記事にありました。





琴子さん(篠原ゆき子)がたいへんエロティックに描かれておりました。AVではすでに常套表現としてみられる汗(あせ)がかもすエロが、腕、鎖骨、首もとなど、それから暗めのシルエットのような画が、どっかでみたことある筆おろし(シリーズがありすぎてわからない)〜体験など、地味な設定ながら、じつはそういったサービスシーンもあったりで、しかもそのサービスというのが嗜虐という……僕はMなので顔をそむけましたが、おそらくs的なものを好む輩(自覚なきとんでもない劣等感と嫉妬をかかえた人でしょうか)はそれなりに楽しめそうな、ジリジリとした描写が二人の女性を交互に配置させておりました。もう、やらしい。




〈感想〉

この原作が選ばれた時点で映画が地味になることを避けられない(僕の印象では)。スター配役があるわけでもないので、劇場どころか、レンタル屋さんで「う〜ん」と借りるのを悩んだわけですが、とんでもない杞憂、傑作でした。というか、あらためて映画ってすごいなっと、見始めてすぐに引きこまれました。映像技術のことは全くわからないので、なぜ引き込まれるのかを画面に注視しながら考えてもいたのですが分からなかったです。ちょうど『乾き』を見たばかりだったので『乾き』と比較しようとおもいつつ、もし『共食い』のキャストを『乾き』と入れ替えたらどうだろう?とか考えつつ、登場人物がたった5人くらいしかいない田舎の、夏の、面白味のない日常の時間が過ぎていくのでしたが、最後のくだりが(タイマーズの曲がかかったり)で、それこそ地味にぼくは盛り上がりました。


ウナギと映画


うなぎは泥臭いのだということを初めて知りました。映画ではしょうがを山盛りのせて(臭い消しでしょうか)食らっており、ふと是枝裕和監督の『歩いても歩いても』にも家族でうなぎを食らうシーンがあったのを思い出したり、『ブリキの太鼓』のうなぎを思い出したり、うさんくさく言えば、うなぎがちんこの比喩だから女たちはうなぎを切断するだけで食わないんだとか言えそうな気もしたのですが、ちょっとみっともないので、昔はうなぎはそのへんの河で釣ることができた。あとフグとか、カニとか。そうしてそれを食らう理由というのはグルメ嗜好というわけではなく、セックスのために、とりわけセックスを充実させようという輩がバカみたいに食っていたということでしょうか。そうしてそのバカたちの私的な嗜好が現在、バカではないと自称するグルメさんたちが嗜好しているという……






タイマーズのものを探したのですが、ニコ動にしかなく、はてなはニコ動に対応してない(有料会員にもかかわらず)ため、やむなくこれを貼りました。タイマーズのものだとあきらかに天皇崩御の歌で、この映画でもその意図をもって使われていると僕は解釈したので、ちょっとした伏線効果もあったりでなにげに良かったです。











映画でも少し台詞にある、「恩赦」という地味な曲を忌野清志郎と小林克也がやっていてそれを貼りたかったのですが、なかったので下関っぽいのでこれを貼りました。

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